三津田信三著【忌名の如き贄るもの】簡単に感想を書く

感想
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2021年に発行された三津田信三著「刀城言耶」シリーズです。
シリーズもので、長編だけでなく短編集も出ています。
私はとりあえず長編のみこれまで読んできました。
その中で、前々作「碆霊の如き祀るもの」は正直イマイチ。
なので今作も、あまり期待しすぎないように読んだのですが…。

あらすじと感想(重要なネタバレなし)

毎回多くの民俗学的知識&難読地名がオンパレードのこのシリーズ。
今回もたっぷりと出てきます。が、それがもたらす雰囲気がとてもいい!
読めない漢字に負けず、楽しんでいきますよ~!

さて、最初の導入部分、さっそく重い展開が続きます。
謎の儀式を行う女の子の1人語りです。
数ページで終わるのかな?と思いきや、85ページまで続きます!
長い(笑) 内容的にはとても面白いから読んでいて苦ではないけど、85ページというと全体の5分の1の分量です。
大丈夫?ちゃんと事件起こって解決する? と少し不安になります。

回想部分が終わると、やっと刀城先生の登場です。
どうやら今回は縁談をまとめる為に、田舎の村に行くようです。
まぁ、刀城先生自身の結婚話ではなく、友人のですが。
そして、まだ村に行っていないのに第一の殺人が起きてしまうという事態に。

え? 村に行ってからじゃないの? ていうか、もう3分の1くらい読んじゃってるんだけど…大丈夫?

はい、大丈夫です! 
ここからちゃんと村に入って色々あります。
怪異の目撃情報を探ったり、葬儀に出たり、警察と話したり、女性の顔を赤くさせたり…。
いや、刀城先生イケメンらしいんですよね…。
それこそ声を掛けただけで女性が赤面しちゃうくらいの。
しかも父親は過去の有名名探偵兼旧華族でしょ。
かなりの高スペックです。
でも結局は「怪異」大好きな変人だし、登場人物達もその辺を揶揄ってきます。
この辺りのやり取りの軽さと、事件の重さが良く融合していて秀逸です。

はい、色々あった結果、何と2件目の事件も起きてしまいます!
この辺はちょっとかわいそうだったな~と思います。
2人目の犠牲者は本来出なくても良かったはずですからね…。

そして遂に謎解きパートです!
ここまでで、謎を解くための情報は全て出揃ったはずです。
刀城シリーズはそういう所しっかりしてますからね。
なので私は考えました。それはもう考えました。
違和感・明らかな伏線・登場人物達のアリバイ・動機…。

結果! 犯人分からず! 
物理的には誰にだって犯行は可能そうだけど…偶然可能であるだけじゃ不十分です。
計画的犯行(おそらく)なのだから、そこは必然的に可能でないとなぁ。
動機については、あってないようなものだし…。
お手上げ。 ということでサクッと解決編を読んでいきます!

読んで数分…私のメンタルは崩壊寸前です(笑)
最近読んだハズレ本格ミステリの数々と、前作長編の「碆霊の如き祀るもの」がフラッシュバックします。
途中までは面白かったのに、謎解き内容が受け入れられなくて泣いた記憶達です。
気分は急降下、三津田さん、本気でこれが答えなの? 私もう、次の作品読めないよ?
そう思うくらいあり得ない結末です! 犯人も動機も信じられないです。
「バカミス」という言葉が脳裏をよぎります。
残りのページを確認してさらに絶望…。
あきらめの境地で最後まで読んでいきます…。

そして! お見事!!
私は三津田先生に完敗しました…。

古典的な手に騙されていたし、動機が見事だし、後味も最高です。
これこそ刀城シリーズって感じです。
私はまだまだ精進が足りませんでした! 次回作も読ませていただきます!




腑に落ちない点(ネタバレあり)

大満足の結末だったのですが、3点だけ不満な点があったので書いておきます。

①2件目の凶器について

凶器は望遠鏡でした。
1件目では滝に落ちたとされています。
そんな都合よく落ちる? と疑問もありますが、納得できなくはありません。

しかし、2件目ではどこに行ったのでしょう? 
和生君と一緒に亀裂の中? もしくはその辺に転がってるのでしょうか?
どっちにしろ、滝と違って見つかってしまう可能性が大きい気がします。
そうなると、せっかく1件目で手に入れていた「完璧なアリバイ」が崩れてしまいます。
しかも細工された望遠鏡ですから、おのずと細工が得意な人が犯人となってしまいます。
そんなリスクを犯人が犯しますかね?


まぁ、望遠鏡が絶対に見つからない自信があったということかな_?
実際に和生君は溝に落ちてるし、近くは崖だし。そこに落ちちゃえばOK的な?
でも、危険だという描写は沢山あったけど、そこまで落ちやすいとは…。
だって、和生君も三市郎さんも結構気軽に行ってるし。ちょっと危険な場所位のイメージでした。




②動機について
「村八分を隠すため」というのが動機でした。
でもそのために葬儀をするって、ちょっと本末転倒ではないでしょうか?
「多くの弔問客=村八分を隠せる!」なのでしょうが、接触する人が多ければ多いほどバレる可能性も上がるのでは?
実際、義母様は積極的に交流しています。ここで村人に「尼耳家はどんな家ですか?」と問えば即アウトです。
それならどうにか短い滞在で日程を組んで、村人との交流チャンスを潰した方が確実では?と思います。

ただ、昔の嫁とりがどう行われるか私は知りません。
嫁を貰う時は、生家に挨拶! 村にも挨拶! 村長にもお目通り! というのが常識だったのでしょうか。
すくなくとも「生名鳴地方ではそれが当然であった」と記述があれば良かったのですが…。


③地図
地図下さい! 
簡単なもので良いので!

まとめ

一読に値するミステリでした。
読者に解けるか?と言われれば、怪しいです。
が、提示された結末は十分筋が通っています。

物語としてならとても良くできていますし、後味も絶妙です。
刀城先生の次回の活躍に期待ですね!

ちなみに、このシリーズ最高作は「水魑の如き沈むもの」だと思っています。
興味があれば是非。

本 | こそぶろ (kosoburo.com)




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