ある意味びっくりした!世にも奇妙な物語2022年秋の特別編:感想【ネタバレあり】

テレビ
スポンサーリンク

私が世にも奇妙な物語に興味を持つようになったのは、以前見た2006年放映の「山田祭り」がとても印象に残っているから。短編でしたが、とても後味の悪い作品でした…
あの作品以上の衝撃を求めて、世にも奇妙な物語を見続けています…!
(もちろん、感動する話も好きです!)

というわけで、世にも奇妙な物語2022年秋の特別編の感想です。(ネタバレを含みますのでご注意ください)

元カレと三角関係

あらすじ
ミカ(土屋太鳳)は、彼氏のアキラ(上杉柊平)のマンネリ化した態度に不安を感じている。ある日、突如「ガン!」と玄関のドアをたたく音が部屋中に響く。2人は恐る恐る玄関を開けると、そこには小さなロボットの姿が。突然現れたロボットにびっくりする2人をよそに、ロボットはミカの元カレのジュン(木村昴)だと名乗る。あまりのことに困惑するミカだが、昔と変わらない優しい内面に徐々に引かれていき……。(フジテレビHPから引用しました)

世にも奇妙な物語の第1話と言えば、演技が下手な美人女優を起用することでおなじみですが、本作の主人公は土屋太鳳さん。
演技には定評がある女優さんなので、非常に安心して見ることが出来ました。

問題は「ロボットの発声が物凄く芝居ががっていた」という点にあったと思います。
久しぶりの彼女に会えて、テンションが上がっているのは分かりますが、それにしても言い回しがキザったらしいというか、鼻につくというか…
もう少し普通の言い回しをしてもらった方が、素直に物語に入り込めたと思います。


肝心の物語ですが、話の筋に違和感しか感じず、全く面白くありませんでした!

「今、事故で死にそうだからロボットになってお前に会いに来た!」と言う、目にカメラが付いている、元カレを名乗るロボット

が部屋に押しかけて来た場合、あなたは何をしますか?
私なら絶対に部屋にいれません。怪しいので。

本当に事故があったか知り合いに連絡を取って事実確認を行い、病院に行き、病院関係者にロボットの性能を聞いてからなら千歩譲って同棲するかもしれませんが、カメラの映像が世界中にライブ配信されている可能性があるので、カメラ部分に目隠しするなど何らかの対策はとります。

ロボットを部屋に招き入れた主人公の行動に、合理的な理由を作るとすれば「今のマンネリ化した現状を打破することを目的として主人公が仕込んだロボット」でしかあり得ません。

世にも奇妙な物語のオチとするならば
・ロボットの中身はジュンではなく、ジュンを名乗る全くの他人
・今の彼氏が「ロボットと結婚する変なヤツとは付き合えない」と言うために仕込んだロボット
と言ったところでしょうか。

物語は違和感の連続で、オチもひどいものでした。
主人公が「おやすみ」と言って物語が終わった瞬間、話がストレート過ぎて寒気がしました。
加えて、今の彼氏が病院の中で横たわる元カレを見つけるシーンのご都合主義っぷりにも寒気がしましたね…

物語はひどいものでしたが、その中で(悪目立ちだったとは思いますが)ロボットの言い回しは印象に残っています。問題点のように思えたロボットの演技のおかげで「何の印象にも残らない話」という作品にはならなかったと思います。
物語が酷い分、俳優さんが頑張った作品、ということでしょうか。

コンシェルジュ

あらすじ
夫に不倫され、娘・七海(落井実結子)と2人で新居のマンションに引っ越してきたシングルマザーの女優・松久保真希(観月ありさ)。夫のいない初めての生活に苦戦する真希だったが、マンションのコンシェルジュ・大神マサテル(金子ノブアキ)が現れ、引っ越し作業を完璧にこなして助けてくれる。その姿に感激した真希は、「お望みならなんなりと」と、願いを何でも叶えてくれるようになり……。(フジテレビHPから引用しました)

うーん…
といった感想です。

そもそもこのコンシェルジュ、登場してすぐ、自分が並べたワインの並びが数ミリずれていただけで「あー!!」と絶叫します。このシーンにより、「このコンシェルジュ、変な人だな」という印象が植え付けられてしまいました。
仕事が完璧なコンシェルジュが、実は変な人。というギャップを利用するならば、このシーンいらなかったんじゃ…。

コンシェルジュは主人公の願いを叶えていたのではなく、主人公の娘の願いを叶えていたのだ!というオチでびっくりさせたかったのかもしれませんが、そもそもコンシェルジュは主人公の願いの全て叶えていません(「娘に近付かないでよ!」と言われても近付いていますし、「来ないで!」と言われても「お望みならばなんなりと!」と言ってダッシュで迫っています)。
例えば、冒頭、主人公の娘がコンシェルジュを呼び出す→娘「ママの言う事は何でも聞いてあげてね!」と言うシーンがあれば、一番の雇い主は主人公の娘、その娘の願いに反しない限り主人公の願いを叶える、という状況を生み出すことが出来たと思います。
または「特定の動作の後の願いについて、コンシェルジュはその全てを叶える」「コンシェルジュが〇〇という状況の時に聞こえた願いについて、その全てを叶える」といった制限を設ければ、目で見せるテレビと相性が良いと思います。

結局、コンシェルジュは人間なのか、悪魔的なものなのか。
これもテーマにしたかったのかもしれませんが、適切な伏線が張られていない以上、正直どちらでもいいです
(コンシェルジュの正体は悪魔。人間の願いを叶えるため、悪魔は身を粉にして働く!「炭酸水のCMをやっていた人の怪しい写真を、悪魔的な力で撮影!」「CMプロデューサーを悪魔的な力で接待!」というコメディの方が個人的には好きです)

わが様

あらすじ
家庭を顧みずに仕事を最優先に働くデザイン会社の社長・友枝秋斗(沢村一樹)。ある日、母親の訃報を知った秋斗は妻の真美(荻野友里)と息子の隼斗(山田暖絆)と3人で実家に帰省する。実家にある大きな蔵が気になった秋斗は、その蔵に入ってみると、薄暗い一角の畳の上に6歳ぐらいの少年・“わが様”(佐藤遙灯)の姿が。幼少期、母に「わが様のほしいものをあげることができれば、願いを叶(かな)えてもらえる」という言葉を思い出した秋斗は子供が好きそうなものを次々と差し出すのだが……。(フジテレビHPから引用しました)

うーん…
といった感想です。

誕生日プレゼントを貰って「全然合理的じゃない」という発言をする主人公が、わが様に贈り物を渡す→「これじゃないです」と言われる→「わが様は何が欲しいのか?」という質問をすぐにわが様にしない時点で、この物語練られてないなあ…という印象を持ってしまいました。

また、主人公は、願いを間違えたら小さな災難が降りかかる、ということに気付くまでに時間がかかり過ぎです。絶望的な察しの悪さから、主人公は五月蠅いだけで仕事は出来ないタイプなんでしょうね。

時々コメディのような音楽が差し込まれていましたが、雰囲気に合っていません。
主人公が冒頭で部下や自分の子供に厳しくしている以上、この作品にコメディを挟み込むのは難しいと思います。
沢村一樹さん、イケメンでどんな演技も出来る素晴らしい方だと思います。
前半は厳しく、途中はコメディで、そこからまた厳しく、最後は泣けるように、という無茶な要望を出されて可哀そうです…

わが様の正体は昔の自分自身であって、わが様の欲しい物=かつて自分が欲しかった物、というオチでしたが…主人公の息子に対する接し方を見ている以上、泣けませんね(ああいうタイプは結局元に戻る、というのが持論です)。
コメディで振り切るなら、消えゆくわが様に「家族の幸せは俺が今頑張ったから!別の願いを叶えて欲しい!」とでも言って欲しかったです。

本作、主人公の家に荷物の宅配の人が頻繁に訪れるシーンがありました。
世にも奇妙な物語ファンに向けて、2022年夏の特別編「オトドケモノ」に登場した俳優さんや使っていた衣装で登場してくれたら、とても面白かったと思います。

ちょっと待った!

あらすじ
広川悟(渡辺翔太)は思いを寄せる会社の後輩・澤田里奈(高田里穂)との食事中に告白する機会をうかがっていると里奈が席を外す。悟は席に戻ってくるタイミングがチャンスだと思い告白の決意をする。里奈が席に戻るやいなや、すぐに告白をする悟。しかし、「ちょっと待った!」と悟の最後の言葉を遮り、続けて「ごめんなさい」と悟の告白を断る里奈。さっきまでの態度と違う里奈に戸惑う悟のもとに、席を外していた里奈が戻ってくる。告白を断った里奈と席を外していた里奈の二人の里奈が対面すると、告白を断った里奈が10年先の未来から来て悟と付き合うのを阻止しに来たと言う。あまりのことに戸惑う悟のもとにさらに、「ちょっと待った!」の声がして……。(フジテレビHPから引用しました)

まず「将来の自分が未来から来た」という状況を主人公&ヒロインが即座に受け入れ過ぎていて怖さを感じました…
この作品にこそコメディ音楽が必要だったと思います。

そして「主人公の〇〇年後」の姿が出てくる作品でしたが、とてもひどかったです。
15年後の主人公は、今の主人公がちょっと疲れただけ、という様子でしたし。
26年後の主人公なんて「口ひげをつけただけ」という…
テレビ局、お金がないんですねえ…

見た目で対処できないなら、俳優の演技力で年齢をそれっぽく見せるしかないと思いますが…
主人公を演じた渡辺翔太さんには高すぎるハードルだったと思います…
正直、どれがどの年代の主人公なのか、今一つピンときませんでした。
その点、ヒロインを演じた高田里穂さんは、物静かな20代、口調が荒い30代、マダムな雰囲気の40代と、あえて特徴を前面に押し出すことで、視聴者に分かりやすく伝えられていたと思います。

面白いと思ったのは、未来から来るどの主人公&ヒロインも「二人は結婚していた」ということです。
未来から来るのであれば「二人が結婚しなかった」場合も見てみたかったですが…物語の尺の都合なのでしょうか。

ラストも良い話路線で終わろうとしたことが残念でなりません。
主人公の娘に主人公が一目惚れし未来がぐちゃぐちゃになるラスト、とか、主人公とヒロインが別れた後すぐに将来の不倫相手に連絡を取るヒロインの携帯の画面ラストとか。
コメディ方向でも、後味を悪くするラストでも、どちらにでも料理が出来そうな素材だっただけに…もう少し頑張って欲しかったです!

総評

世にも奇妙な物語2022年秋の特別編。
2022年夏の特別編がそれなりに面白かっただけに、正直がっかりでした。
元カレと三角関係は話が破綻していましたし、わが様は方針がブレブレちょっと待った!は主人公の演技力が物語に追い付いていなかったです。
コンシェルジュは少し世にも奇妙な物語らしさがありましたが…話は面白くなかったですね。

そして、世にも奇妙な物語恒例「演技が下手な人を起用し作品を台無しにしている」がなくなってきていることは嬉しいです(ちょっと待った!は求められるハードルが高めだったと思います)。

世にも奇妙な物語は優良なコンテンツがたくさんありますので、過去の作品の再放送、過去の作品のリメイク、もしくは過去の登場人物を作品に入れ込む、などして延命していくのが良いのではないでしょうか。

見てよかった度:☆(「元カレと三角関係」は本当に面白くなかったです!)
また見たい度 :☆(色々と考察したいのですが…)
「世にも奇妙な物語」ではなくただの短い作品が多い度:☆☆☆☆☆

その他の世にも奇妙な物語の感想等はこちらからどうぞ。