全体的に完成度が高い!!世にも奇妙な物語2022年夏の特別編:感想【ネタバレあり】

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私が世にも奇妙な物語に興味を持つようになったのは、以前見た2006年放映の「山田祭り」がとても印象に残っているから。短編でしたが、とても後味の悪い作品でした…
あの作品以上の衝撃を求めて、世にも奇妙な物語を見続けています…!
(もちろん、感動する話も好きです!)

というわけで、世にも奇妙な物語2022年夏の特別編の感想です。(ネタバレを含みますのでご注意ください)

オトドケモノ

あらすじ
山辺タクヤ(北山宏光)は、「オトドケモノ」というアプリを偶然見つける。アプリで注文すると、数秒後に玄関のインターホンが鳴り、セクシーな格好の配達のお姉さん(樋口日奈)が注文の品を届けに来て…

世にも奇妙な物語の第1話と言えば、演技が下手な美人女優を起用することでおなじみですが、本作の主人公はKis-My-Ft2の北山宏光さん。
視聴者に違和感を覚えさせる演技ではなかったですが、パニックになるところなどは上手な演技という訳ではなかったように思います。そういった意味ではおなじみを継続していると言えるかもしれません。
後、これは個人的な問題なのですが、北山宏光さんの顔があまり好きではないので物語に集中できませんでした…

さて、肝心の作品ですが、中盤まで面白かったのに、オチが最悪でした!

「オトドケモノ」アプリで注文すると品物の代金+送料800円で、注文から2秒後に商品が届くという不思議な現象に対して、どんな物まで注文できるか主人公とその妻は様々な物を試します。
その結果
・自分の物(自分がどこにあるか把握していなくてもOK)
・過去に実在した物

・人間(支払代金はその人の平均年収×40年、ただし夫婦間は送料のみ)
は注文可能であり
・具体的でない物、実在しない物
は注文不可能であることが分かります。
大富豪ならば、何でも注文できてしまう恐ろしいアプリですね…

主人公夫婦は「夫婦間は送料無料」というルールを利用し、
・家にいる夫が仕事終わりの妻を注文することで妻の通勤時間を0にする
・夫が旅行先に一人で行って、妻を注文することで旅行代金が半分になる
という活用を始めます。
…もっと他の活用方法がある気がしますが、とりあえずそこは置いておきましょう。

最終的に、主人公と主人公の妻がお互いを注文し「ネットはできるが、外部には脱出できない暗黒空間」に二人とも閉じ込められます。
暗黒空間に閉じ込められた後「アプリのURLを送れば、誰でもオトドケモノアプリは利用できる」ということも発覚します。

…正直、この時点で物語が危ない方向に動き出していると思います。
「主人公が閉じ込められた空間はネットが繋がる」「アプリのURLを送れば、誰でもオトドケモノアプリは利用できる」という条件が追加されたことで、脱出方法は無限の選択肢があります。

主人公は「一度離婚→誰かと結婚しオトドケモノアプリで自分を注文してもらう→再度離婚→主人公妻と再び結婚してオトドケモノアプリで注文」という方法を思いつきましたが、主人公妻が採った「お金持ちに自分を注文してもらう」が一番手っ取り早い脱出方法でしょう。1年間も何を考えていたのか…

本作、ここまでは面白いと思います。奥さんが脱出し、暗黒空間に主人公が閉じ込められたエンドであれば。

暗黒空間から脱出するために配達のお姉さんに泣きつき、配達のお兄さんになって脱出する、というのは思いつく限りで最低のラストです。
「配達のお姉さんに成り代わる」のではなく配達員の末席に加わる、という点にも工夫の欠片も感じません。
オトドケモノアプリがどういった原理で動くかには何の興味もなく、システムである「オトドケモノ」とどのように上手く付き合い、そして失敗するのか、ということが話の面白い部分であったはずです。そういった意味で、配達のお姉さんがたくさんいるシーンは完全なる蛇足でした。



暗黒空間に閉じ込められた時点で幕を引いていれば、普通に良作の類だったと思います。
又は「暗黒空間からはオトドケモノアプリは3回しか使えない」という回数制限を設ければ、変な物を注文して喧嘩するシーン、知恵を絞って脱出するシーンなど色々と面白いシーンが出来たように思います。

何だかんだ銀座

あらすじ
少年とその父親は、銀座の公園で“野生のお金持ち”であるニホンオオカネモチ(有田哲平)を捕まえて自宅で飼うことにするが、ニホンオオカネモチは銀座に大変なこだわりを持っていて…

面白くないわけではなかったですが、イマイチです。

まず、有田哲平さんの演技。
下手な訳ではないですが、決して上手には見えません。有田哲平さんは芸能界の大御所になりつつある人物でしょうから、ギャラも安くはないはずです。
何故、あまり演技が上手くなく、ギャラも高い有田哲平さんを起用したんでしょうか…??

ニホンオオカネモチ、ニホンコガネモチ、ニホンアブクゼニ…
様々なキャラが登場しましたが、基本的にイマイチでした。
もっとたくさんのキャラを登場させるか、もしくはニホンオオカネモチにだけ焦点をあてるかすれば面白かったと思います。(銀座の街ブラとか、孤独のグルメのオマージュとか…)

後、どんな事情があれ、飼い主が飼えなくなったからペットを捨てる、という描写をテレビでするのは嫌悪感があります。主人公のお父さんが一番の悪人ですので、何か罰があれば良かったですね。

ラストシーンもイマイチです。
あのシーンを描くことは「網で捕まえれば人間は捕獲できる」という世界を描くことで、そうすると不思議なのは「網」ということになってしまいます。
「オトドケモノ」も同じでしたが「網」が当然のようにある世界で、わざわざ「網」に注目する必要はないはずです。

また、最終的にニホンオオカネモチは主人公を恨んでいたのか、興味本位で網を使ってみたのかも分からないため、奇妙さが薄れています。
雰囲気としては恨みがあったような感じでしたが、有田哲平さんの演技からはうまく伝わってきませんでした。
主人公を捕まえた後、別室で主人公の一家も捕まっているシーンとか、歴代のニホンオオカネモチを捨てた飼い主が捕まってるシーンとか、主人公に「オレヲステタワルイヤツ」という名前を付けるとかすれば、より後味が悪くなると思います。

ネットに落ちていた原作小説を読みました。原作はやはり綺麗にまとまっています。
世にも奇妙な物語2021年秋の特別編でも感じた「世にも奇妙な物語なんだから、とりあえずバッドエンドにしとけばいいだろ!」という声が聞こえてきそうな改編でした。

そして最後に。
自分が受ける企業の会長の顔を調べていない就活生は、捕獲されて当然です!



メロディに乗せて

あらすじ
突如、脳内に流れる音楽に合わせた行動をとらないと頭痛が起きる“脳内メロディ症候群”という奇病にかかってしまったOL・村野叶海(生田絵梨花)。ところ構わず脳内に流れるさまざまなジャンルのメロディーに翻弄毎日が始まり…

今期で一番の当たり作品でした!

まず主人公の生田絵梨花さん。
元乃木坂、ミュージカル女優、音楽家等々様々な肩書きを持つ彼女のテレビでの演技を見るのは初めてでした。
ミュージカル女優の生田絵梨花さんの為に書かれた作品だったのか?と思う程、当たり役だったと思います。
…が、表情の作り方など、テレビサイズの演技はあまり慣れていないのか、という感じがしました。難しい役どころですが、生田絵梨花さんの演技がより良かったら名作の領域だっと思います。

物語の筋は非常にシンプルで「脳内に流れる様々なジャンルのメロディに合わせた行動をとらないと頭痛がし、最悪死に至る」というもの。
コメディタッチで作品が進むので、世界に3人しかいない「脳内メロディ症候群」の患者のうちの2人が同じ会社にいる、というご都合主義も気になりません。
また「オトドケモノ」「何だかんだ銀座」と違って、「何故頭の中に音楽が鳴るのか?」という点を「そういう病気」として理解させている点も良かったです。(ちなみに「そんな病気ある訳ない!」と思う人は、世にも奇妙な物語を見るのに向いていません)

個人的には、脳内に流れる音楽が止まる時「カセットテープを止める音」で表現している点が面白かったですね。
「脳内メロディ症候群」を発症させた神は、音楽をカセットで録音していたのでしょうか…

メタルギアソリッドのオマージュシーン、ゲームの音楽を多く使うなどの点が「ネット民に媚びた」という批判も受けているようですが、個人的には元ネタを知っていても知らなくても楽しめる部分だと思うのでそれほど気になりませんでした(元ネタを知っている人は、より盛り上がるでしょうし)。

物語終盤の「シーンは一つ。頭の中に流れる音楽は三つ」というシーンはとても良かったです。
こういった「小説では絶対に出来ない、テレビならではの表現」は見ていて面白いです。

序盤の医師の「それを聞いたら最後、全てが終わる」という音楽こそが、世にも奇妙な物語のテーマソング(ガラモンソング)であり、本作「メロディに乗せて」をタモリさんが映画館で見ていた、というラストも非常に世にも奇妙な物語的だったと思います。

本作は世にも奇妙な物語が好きな人が作ったという印象を受けます。
いい作品でした!




電話をしてるふり

あらすじ
川崎望(山本美月)はナンパされると撃退するためにパパと“電話をしてるふり”をする。ある日、ナンパ男が現れいつものように父親と“電話をしてるふり”をするのだが、見破られてしまいスマホを奪われてしまう。男が望のスマホに耳をあてると、望が11歳の時に他界した父親と本当につながっていて……。(あらすじはフジテレビのページから引用しました)

世にも奇妙な物語としてはともかく、話として良かったです!

物語としては「他界した父親と電話することが出来る」というお涙頂戴ものとして一般的なものでしたが「主人公は父親の声が聞こえない」というところに工夫があったと思います。
また、山本美月さんの演技が良かったので十分に世界に入り込むことが出来ました。

個人的に一番印象に残ったのは、主人公のお母さん役:森口瑤子さんの演技。
他界したはずの自分の夫と電話が繋がっているという娘のたわ言を受け入れる困惑、娘の前で夫と電話をするふりをする照れ、夫の声が聞こえる嬉しさ…
電話口で演技する様子はとても素晴らしく、泣きそうになりました…
一つ言わせていただければ、主人公は、お母さんには「父親と電話が出来る事」を早く教えて欲しかったですね。何故3年も秘密にしていたのか…

やはり、いい俳優さんの演技は色々な不満を吹き飛ばしますね。

総評

世にも奇妙な物語2022年夏の特別編。
名作!と呼べるものはなかったですが、全体的には悪くなかったような…気がします(2020年秋2021年夏2021年秋という暗黒期が続いていたので、感想が甘くなっているかもしれません…)。
「オトドケモノ」「何だかんだ銀座」はせっかく世界観が面白かったのに、素材をうまく活かせていなかったです。

また、以前は、演技が下手な人を起用し作品を台無しにしていることが多かったように思いますが、今期はそんなことはありませんでしたので、多少進歩しているのかもしれません。

秋の特別編をある程度前向きな気持ちで待つことができる、世にも奇妙な物語2022年夏の特別編でした。

見てよかった度:☆☆☆(「メロディに乗せて」は話の構成が良かったです!)
また見たい度 :☆☆(ラストを変えた「オトドケモノ」を見たいです)
全体的に完成度が高くて嬉しい度:☆☆☆☆☆


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