北山猛邦著【月灯館殺人事件】簡単な感想

感想
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北山猛邦さんの「月灯館殺人事件」を読んでみました。
サラっと流し読もうと思ったら、思いのほかちゃんとしたミステリでした。
簡単に感想を書いていきます。

あらすじ

「本格ミステリの神」と謳われる作家・天神人が統べる館、「月灯館」。
その館に都度石本格ミステリ作家たちの間で繰り広げられる殺人事件!
悩める作家たちは何故/誰に/何のために殺されるのか?
絢爛たる物理トリックの乱舞とともに読者を待ち受ける驚愕のラスト一文に刮目せよ!!
これぞミステリの真価の系統樹の最前線にしてネオ・クラシック!

星海社fictions裏表紙より

著者の北山猛邦さんはミステリ界でかなり有名です。
私も以前「アリスミラー城殺人事件」を読んでいます。
そんな北山さんの物理トリックミステリ! 

正直物理トリックは苦手なのですが、「ラスト一文に刮目」と言う部分が気になったので読んでみました。

感想

文章が読みやすく、主要登場人物がわかりやすく、館の見見取り図&事件現場図がある!
読者にとても親切なミステリ、ありがとうございます!

最初は「犯人考えず最後までバーっと読んじゃお」と思っていたのですが、それじゃあもったいない作品でした。
しっかり違和感に注意しつつ、謎を解く気持ちで読めるミステリだと思います。

主人公はミステリ作家の弧木くん。
館にいるのもミステリ作家! そして執事&メイド&その他が1人ずつです。
携帯電話は電波が届かず、その他の通信設備は使えず、雪に閉ざされた館内での連続殺人事件が発生。
まさに王道ミステリの世界ですね、とてもいいです。

謎解きに繋がる違和感は結構大胆に書かれています。
その反面、その違和感をスルーしてしまうような誘導もあり、書くのが上手いなと感じました。
あらすじに書かれていた「絢爛たる物理トリック」はまさにその通りで、これでもか!と言うくらい複数使われています。
中にはなかなか大胆なものもあり、実現可能かどうかは置いておいて、楽しませてもらえました。
犯人&結末にもおおむね納得でき、久しぶりに当たりのミステリ小説でした。

感想(犯人指摘・ネタバレあり)

まず、主人公の弧木くんの違和感が凄いです!
病んでる人なのかな?ってくらい変な感じです。
でも、その違和感が全て伏線だったとは…

この作品、弧木=夢川=メイドが同一人物と言うのが最大のトリックな訳ですが、それが非常に上手く書かれています。
違和感は沢山あるけど、病んでる・ちょっと変な弧木くんだし気のせいかな?ただの演出かな? と私も結構スルーしていました。
しかし、同一人物だと認識してもう一度読み返すと、その違和感が綺麗に嵌っていきます。
おまけに、裏表紙のあらすじに「絢爛な物理トリック」とありますからね。
読む前からこの小説は「物理トリックものである」という刷り込みがあったのかもしれません。
書かれている物理トリックはそこそこ面白いけど、扱いが非常に雑なのも納得です。
物理は目くらまし、本命は叙述ということでしょう。

ただ、やはり難しいなと思った点もあります。
弧木の独白と地の文の区別が(わざとでしょうが)非常にわかりにくいです。
おまけに名称の使い方に一貫性が無く、「弧木の姿だけど名称は夢川」で表記されていたりします。
この辺りの使い分けは、完全に作者の自由です。
これが無いと叙述が成立しないのは判るけど、少しずるいかなぁと思ったり思わなかったり…。
私はセーフだと思いますが、人によってはアウトだと思う人もいるんじゃないかな?

あと、純粋にわからないのですが、弧木くんの服を着た男の死体って誰だったのでしょう?
弧木さんの服を着せられた堂々?人形? 
ノア君に見せるためだけに仕込んだのでしょうか。これによって最後の一文が引き立つのは判るのですが…う~ん。
もしくは弧木≠夢川兼メイドで、弧木は本当に死亡、夢川兼メイドは弧木に成り代わったとか?
でも弧木君、スタバで編集者と会ってるようだから、顔バレしてて成り代わりは無理だよね…う~ん。
…やはりノア君への演出…かなぁ?

最後に…今回の犯人も素晴らしくアグレッシブでした。
メイドとして働き、小説家×2としてひきこもり、服装&メイクを使いこなし、執事の弱みを握り、天神人の秘蔵の計画を盗み、おおよそ不可能とされる物理トリックを複数成立させ、書庫のキーを解除し、膨大な量の本をデータとしてクラウドに落とし、たった一人生き残り、50年後を見据える!! 
若干22歳の女性、凄すぎます!
それに比べて執事さんは…ちょっと抜けすぎていましたね…。

まとめ

久しぶりに読み込みがいのあるミステリで面白かったです。
本格ミステリって、書くの大変なんだろうなぁとしみじみさせられます。
今後の本格ミステリがどうなっていくのか非常に気になります。

北山猛邦さんの過去作品、読んでみようかな!



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