名作は無いが、良作が多い!!世にも奇妙な物語2019年秋の特別編:感想と考察【ネタバレあり】

テレビ
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私が世にも奇妙な物語に興味を持つようになったのは、以前見た2006年放映の「山田祭り」がとても印象に残っているから。短編でしたが、とても後味の悪い作品でした…
あの作品以上の衝撃を求めて、世にも奇妙な物語を見続けています…!
(もちろん、感動する話も好きです!)

というわけで、世にも奇妙な物語2019年秋の特別編の感想と考察です。(ネタバレを含みますのでご注意ください)

鍋蓋

あらすじ
ある日、古川直美(杉咲花)がパソコンを開くとネットショッピングサイトから「よりよい人生を送りたいと思っているあなたに新サービス!あなたへのおすすめプラチナム」というメッセージとともに、オススメの商品が通知されていた。特に興味もなくやりすごす直美だったが、何度も送られてくる通知により、つい購入してしまう。するとそれは、憧れの先輩・荒井敦 (岩永徹也)のお気に入りのキャラクターグッズだった…

世にも奇妙な物語の第1話と言えば、演技が下手な美人女優を起用することでおなじみですが、本作のヒロイン:杉咲花さんはとても素晴らしい演技で物語をとても楽しく見ることが出来ました。さすが朝ドラ女優!!

そして憧れの荒井先輩、どこかで見たことがあると思ったら、仮面ライダーエグゼイドに出ていましたね!仮面ライダーでの怪演っぷりが好きだったので、とても良かったです!

さて、肝心の作品ですが、面白かったです!

「おすすめプラチナム」に紹介される商品を買うと、自分にとって良いこと(憧れの先輩とお近づきになれたり、社内での自分の評価が上がったり)が次々と起こる、という話でしたが、最後までオチが読めずワクワクしながら見ることが出来ました。

おすすめプラチナムで紹介される商品を買えば人生が好転する、まるで進研ゼミの漫画のようなご都合主義展開でしたが、全てはおすすめプラチナムを紹介するCMだったとすると非常に納得出来ます。

主人公がカメラ目線で「すごいかも、おすすめプラチナム」というシーンが伏線でしょうか。

包丁の攻撃を鍋の蓋で防ぐのは無理があるだろと…とか
何故アメリカ大統領らしき人が「ナベブタ」と言ったのか…とか
主人公は殺人未遂で逮捕(しかも包丁を購入するなど事前準備がかなり周到でしたので、かなり悪質と判断されるはず)されるでしょうから、それは豊かな人生なのかな…AIの判定は間違ってるな…とか
世にも奇妙な物語2017年秋の特別編「運命探知機」っぽい作品だな…とか

色々突っ込みたい気持ちはありますが、杉咲花さんの演技力の前ではあまりうるさいことを言いたくなくなりました。名作!とまでは言えませんが、良い作品でした。

恋の記憶、止まらないで

あらすじ
シンガーソングライターの村瀬志保(斉藤由貴)は、昔のように曲を作る事が出来ず焦りを感じていた。ある日、志保は夢の中に流れていたメロディーから新曲を作ると大評判に。そんなある夜、自宅で曲作りをしていた志保は、夢の中で聞いたメロディが、かつて幼少期に自分が出演していたテレビ番組のCMソングだった事を知り、盗作をしてしまった事に気づいてしまう…。

盗作した罪悪感から不思議な現象が起きていると思い込んでいるのか、本当に呪われた曲であり呪いの現象が起こっているのかの2択だったので、物語としては単調でした。

その後、廊下の電灯が不自然に明滅したり、蛍光灯が急に割れたことなどから、呪い方向で確定するのですが、その後の主人公が恐怖に怯えるシーンや盗作に苦悩するシーンがちょっと長過ぎましたね…

最後、「こいのきおくとまらないで」が実は「このきょくとらないで」と言っており、盗作元だと思っていたCMの音楽も誰かの曲を盗作しており、その「誰か」に呪われていた、という2段構えの構成でしたが…呪われていることが確定している以上、誰が呪っているかの真相が分かったとしてもインパクトは薄めでした。

「私の妄想だったのか」とホッとしてからやはり呪いだった、と見せた方が落差が激しく奇妙さが増したような気がします。

コールドスリープ

あらすじ
「ITの風雲児」「未来を想像する男」と称される社長・藤田吾郎(ムロツヨシ)は、余命3ヶ月を宣告され、最大50年冬眠できて、途中4回まで覚醒する事が出来る“コールドスリープ”の機械に入ることにしたが…

お涙頂戴の中では面白い作品でした。

後、これは私が悪いのですが、主人公の息子を演じた落合モトキさんがお笑いコンビ和牛の川西さんに見えて、ちょっと物語に集中できませんでした…

話全体の筋は通っていましたし、コールドスリープしている間に主人公を取り巻く環境がとんどん変わっているという展開も、視聴者を飽きさせない展開で良かったと思います。(コールドスリープの機械がとても安っぽいのが気になりましたが…)

贅沢を言えば、コールドスリープを経て着いた未来の世界である2052年の世界がもう少し細かく描かれていたら、物語に説得力が増したと思います。
例えば皆奇抜なファッションをしてるとか、携帯電話が違うデバイスになっているとか、元号が変わっているとか…

逆に言うと、そういう描写がないため、全ては「ITの風雲児」である社長を社長の座から引きずり落とすためのドッキリ、という作品でも良かったと思いますが、それでは泣ける話になりませんからね…

ソロキャンプ

あらすじ
藤原丈人(板尾創路)がいつものようにソロキャンプを楽しんでいると砂利を踏みしめながら男が近づいてきて・・・

画面全体が暗すぎて話がよく見えません!!ホラー作品だとしても暗すぎ!!

主人公はもう死んでいる、とか、主人公に殺された歴代のペットが姿を変えてお礼参りに来ている、とか構成としてはよくある話ですが、俳優さんの演技力で見れる作品になっていたと思います。
特におばあちゃん役の小貫加恵さんは恐ろしかったです…

想定できる範囲内のオチでしたが、オチに問題があると思います。
二人目の女子高生は主人公が100%悪いので恨まれてもしょうがないと思いますが、一人目は不幸な事故であり、三人目は時間外でのお仕事を断っただけです。
医者は人の命を救う仕事なので、絶対に失敗してはならないし、24時間365日働いていないとダメだということでしょうか?

例えば手術直前まで酒を飲み酔っぱらった状態で執刀した、とか、勤務中にキャンプ用品の営業さんと話が盛り上がって救急車の受け入れを断った、とか、もう少し主人公を悪い人間に描いてくれれば、気持ちよく見ることが出来たと思います。

恵美論

あらすじ
吉村恵美(白石聖)はある日の授業中に不意に居眠りをしてしまう。次に目覚めた時には何と恵美の生い立ちや家族構成を教師が生徒に教えている「恵美論」に変わっており…

ショートストーリーはこれぐらいのテンポがいいですね。

何故「恵美論」があるのか、とか余計な説明は一切いりません!そもそも「恵美論」って何だ、とか余計な説明が一切なかったところにが非常に良かったです。

個人的には恵美論を受けた後の主人公と友達の会話

「何、今の授業。恵美って私じゃん」
「だったら私もリカ(理科)だけど」

…が完璧だったと思います。

本作が世にも奇妙な物語2019年秋の特別編で一番の良作でした。

総評

「恋の記憶、止まらないで」と「コールドスリープ」は、ストーリーテラー及びエンディングの後日談があって物語として完結していました。
全体を通して指揮する人がいて、それなりに気を遣って世にも奇妙な物語を作り上げていたな、という感想です。

見てよかった度:☆☆☆(俳優さんの演技がとても良かったです!)
また見たい度 :☆☆(杉咲花の演技と「恵美論」のテンポはまた見たいです)
俳優さん達の演技に救われた作品が多かった度:☆☆☆☆☆

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