麻耶雄嵩の名作「螢」 唯一の生存者の考察と良かった点のまとめ【ネタバレあり】

感想
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2004年8月に幻冬舎から発行された、麻耶雄嵩(まやゆたか)さんの小説です。

本作は2005年度「本格ミステリベスト10」で第3位に選ばれています。
また、2005年度「このミステリーがすごい!」で第11位に選ばれています。

麻耶雄嵩さんと言えば、2017年に嵐の相葉雅紀さん主演のテレビドラマ「貴族探偵」の原作を書いた人であると同時に、個人的には様々な「問題作」を世に送り出している人という印象です。
本作はどのような「問題作」なのかまとめてみました。

※今後出てくる作品のページ数は「幻冬舎」のページ数です。

あらすじ

梅雨。大学のオカルトスポット探検サークルの六人は、京都府の山間部に佇む黒いレンガ屋敷「ファイアフライ館」へ、今年も肝試しに向かっていた。そこは十年前、作曲家でヴァイオリニストの加賀螢司が演奏家六人を惨殺した現場だった。事件発生と同じ七月十五日から始まる四日間のサークル合宿。昨年とちがうのは半年前、女子メンバーの一人が、未逮捕の殺人鬼”ジョニー”に無惨にも殺され、その動揺をまだ引きずっていたことだった。ふざけあう悪趣味な仲間たち。嵐の山荘で第一の殺人は呪われたように、すぐに起こったー。

※このあらすじは本の帯から引用しています。

帯には「蛍が誘なう、戦慄の旋律。」とも書かれています。
まさかのダジャレですね…

他には「大胆にして繊細。驚きに驚く、あざやかなトリック!」とも書かれています。ちょっと、安直すぎませんか…
ダジャレを含めて、もう少し上手く褒められなかったかな…と思ってしまいました。

感想

間違いなく面白いです!

あらすじにもありましたが、本作は過去に因縁が渦巻く「ファイアフライ館」という嵐の山荘を舞台にしたクローズドサークル物です。
巻頭にファイアフライ館の図面登場人物表も登場するなど、いわゆる本格物としての舞台はきっちりと整えられています。

そして、本作は読者が注意深く読めば作者が仕掛けた罠を見破ることが出来るタイプの小説です
謎解きが好きで推理小説を読むタイプの方は、しっかりと読み進めることをオススメします(私はまんまと騙されましたので、もう一回一行目から読み直すことになりました…)。

麻耶雄嵩さんは、謎の答えの全てを明かさない小説を世に出すことがあります。
本作はほとんどの謎が解明されますが、何と!物語の最後に新たな謎が放り込まれます…。麻耶雄嵩さんらしい作品だと思います。

もちろん、物語のラストは麻耶雄嵩さんらしい「世界の崩壊」
」とは違った種類の禍々しさを感じる作品でした。

麻耶雄嵩ファンからすると物足りない作品のようですが、クローズドサークル、過去と現代の因縁、魅力的な登場人物、用いられているトリックの質とその見せ方など、最初から最後まで魅力が詰まった傑作だと思います。
読者に対して正々堂々と勝負を挑む「本格ミステリ」でした。

ちなみに、何故この作品が「本格ミステリベスト10」の3位なのか不満があって調べたら、第2位は綾辻行人さんの暗黒館の殺人だったんですね…(第1位は法月綸太郎さん:生首に聞いてみろ、です)
お二人が共謀したのかは不明ですが、ファイアフライ館も暗黒館も館が真っ黒ですね…

総評

読んでよかった度:☆☆☆☆☆
また読みたい度:☆☆☆☆
しっかりと読めば読むほど作者の罠に嵌る度:☆☆☆☆☆

※以下ネタバレがあります!!

良かった点の紹介

視点

本作は視点となる人物のモノローグで幕を開けます。
では、この視点の人物が誰なのか?

視点となる人物は対馬つぐみに対する思いを吐露し、その後対馬つぐみの彼氏は諫早であることが分かります(P34)。
この時点で私の頭の中は語り手=諫早という図式が完成してしまいました…

さらに

平戸「(略)…なあ諫早」と、首をこちら側に曲げる。

という表現(P79)から、語り手は諫早であることを確信します(もちろんこれは、諫早の側に長崎がいたのでしょう…)。

また、

トイレから帰ってくると、静寂を破るように平戸がむっくと椅子から身を起こした。そして小さな声で、
なあ諫早。佐世保さん、何か仕掛けてきたか?」

という表現(P84)から、語り手は諫早であることを強く確信します(もちろんこれは、長崎がトイレから帰ってきたタイミングで平戸が諫早に声をかけたということでしょう…)。

さらに、
語り手「僕も二年で下っ端だしな」(P169)という発言も、語り手=諫早という認識をとてつもなく強固なものにしてしまいました(ここで立ち止まって「語り手=長崎の可能性もあるな…」と思うべきでした)。

極め付きは、松浦が諫早の部屋で話をしているシーンです(P185~)。
この部屋には二人(松浦と諫早)しかおらず、そして語り手が自分の心理を吐露しています。松浦が語り手でないことは明らかですから、語り手は諫早である、としか言えないことになります。
しかし「長崎は盗聴器を使う」という事実をしっかりと示している(しかも同じ章で)ため、読者にとって十分フェアであると言えると思います。

ジョージの共犯者について考察しているシーンで、平戸の「探偵団はめでたく除外できるってわけか」という発言(P313)から「語り手は諫早。つまり共犯者は長崎か!」と単純に考えていた私は、風呂場にいたのが諫早だったシーンで度肝を抜かれました…

読者へのヒント①

松浦と諫早が話しているシーンも充分ヒントと言えるかもしれませんが、他にもたくさんのヒントがちりばめられています。

語り手「そういえば罰ゲームは何をするか聞いています?」
平戸「いや、全然」
(略)
平戸「(略)諫早は何か聞いているか?」

というシーンがあります(P109)。
語り手が諫早の場合、罰ゲームについて知らない人物に罰ゲームについて質問する、というおかしな会話をしていることになります。

読者へのヒント②

一番わかりやすいシーンは、
松浦が「対馬さんとは親しかったんですか?」と語り手に聞いているところでしょう(P172)。
佐世保が「対馬はそこの諫早の彼女だったんだよ」と全員の前で言っており、その発言を松浦も聞いています(P34)ので、これは明らかな矛盾点と言えるでしょう。
気付かなかったのが悔やまれます…

読者へのヒント③

推理小説的には「語り手は島原と部屋を交換した」(P104)というヒントから答えを導き出すのが一番美しいと思います。
まず「僕も二年で下っ端だしな」(P169)という発言から語り手は「諫早」「長崎」のどちらかです。

さて、大村が見た人物を捜す際、平戸が「茄子クン(島原)は居てはいけない位置だった」という発言があります(P183)。
語り手が諫早の場合、島原は大村と同じ東側の並びの部屋ですので問題ありませんが、語り手が長崎の場合、島原は西側の並びの部屋に居るはずですので「居てはいけない位置」と言えます

これに加えてもう一点。
螢の間から島原の部屋に向かうシーンで「螢の間を出た足で平戸を先頭に小松響子の部屋へと向かった。ぐるっと一回り。」とあります(P216)。
諫早の部屋は螢の間を出てすぐ。ぐるっと一回りする必要はありません。
このことから、島原は螢の間から出て廊下をぐるっと一回りする必要のある長崎と部屋を交換した=語り手は長崎と言えます。

この部分、うまいなと思うのは「島原の部屋」ではなく「小松響子の部屋」と書いているところです。
「螢の間を出た足で島原の部屋に向かう。ぐるっと一回り。」であれば、私でもおかしいと気付けた、かもしれません…

登場人物

本作を語る上で外せないのは、やはり「松浦千鶴」についてでしょう。
ぼんやりと本作を読んでいた私は、平戸が「何だって!」と大声を上げたこと(P339)に対して、「何を驚いているんだろう…」と思ってしまいました…
まさか、松浦以外の皆が松浦を男性として認識していたとは…!

性別を誤認させるトリックは色々な小説で見掛けますが、読者に正解を明示し、作中の人物に性別を誤認させるという見せ方は本作が唯一ではないでしょうか?
「地の文では嘘を書かない」という本格ミステリの暗黙の了解が頭の中にあったので、松浦の性別について疑いもしなかったですね…

読者がどのようにして「松浦千鶴」を女性だと認識したのかと言うと、ここでも悪さをするのは「語り手」です。

紅一点、S女子大一回生の松浦千鶴(P27)
・アキリーズには女性会員が三割ほどいるが、今年の参加者では、千鶴が唯一の存在だった(P28)

など、松浦は女である、という表現が(不自然な程)至るところに出てきます。
私はそもそも語り手を諫早だと思っていたので「諫早(語り手)は対馬つぐみの後釜として千鶴を狙っているのか…」ぐらいにしか思っていなかった自分が恥ずかしいです…

読み返してみると、様々なところに罠が仕掛けられています。

大村の「もしかして、ここにはもう一人いるんじゃないのか。女が……」(P95)という表現は絶妙です。
大村は「ここには(我々の知らない人物が)もう一人いる」と言っていますが、松浦を女と認識している読者は「ここには(松浦以外の)女がもう一人いる」と読めてしまいます。
ちなみに、大村の認識ではファイアフライ館に女性はいない訳ですから、女の声が聞こえてそれはそれは驚いたでしょうね…。

また、大村の「いくら僕でもそこまで阿呆な見間違いはしませんよ。五メートルと離れてませんでしたから。あれは確かに見たことのない女でした」(P177)という表現もうまいなと思います。
大村は「(単に)見たことのない女」としか言っていませんが、松浦を女と認識している読者は「(松浦以外の)見たことのない女」と読めてしまいます。

読者へのヒント①

作者は超序盤からヒントを出しています。それはP4のファイアフライ館<部分図>です。

間取りを見ると「風呂」が2つあります。
ファイアフライ館には「八重奏団に女性がいたせいもあるのだろう。浴室やトイレはみな男子用と女子用に分かれている」(P205)とありますので「男風呂」と「女風呂」ということになります。
しかしながら本作では「使用されていなかった手前の浴室」(P209)とあるように、片方のお風呂しか使われていませんし、また、そのことに対して松浦千鶴が文句を言うシーンもありません

このことから気付いても良かったと思いますが…気付けなかったですね。
ファイアフライ館<部分図>のトイレは「トイレ(男)」「トイレ(女)」と書いているのもヒントだったと思います。

読者へのヒント②

松浦と島原の会話の中にもヒントがあります。

松浦「ボクの大学の吹奏楽部は(略)」
島原「S大のオケ部は聞いたことがあるけど(略)」(P60)

島原はS女子大の一回生のはずです。この会話から、島原は松浦がS大に所属していると認識していることが分かります。
S大がどういう大学なのかはともかく「松浦が身分を偽っている」ということには気付きたかったですね…ここも気付けなかったです…。

読者へのヒント③

他のヒントに比べると小さなヒントですが、浴室に髪が浮いていたシーンで平戸は「口紅や香水は男がすぐに調達できるものじゃない」と言っています(P215)。

このあと平戸は小松響子の部屋にある化粧道具のみを疑いますが、女である松浦に全く触れないのはおかしな話です。これも平戸が松浦のことを女と認識している証拠と言えると思います。

動機

語り手・長崎の動機は復讐ですが、最終的には「タカタカタ・タータ・タカタカタン」という「螢の旋律」が長崎の最後の理性をむしり取りました。
推理小説における動機としては非常に曖昧なものだと思います(推理小説ではないですが、近いところでは「天使の囀りが聞こえる…!」でしょうか)。

しかしながら細かな積み重ねにより、その動機が非常に説得力を持たされています

その最たるものが雨音でしょう。
「防音設備は客室だけでなく、ファイアフライ館の全ての部屋になされている」(P60)はずなのに「なぜか雨音だけは聞こえる特殊な構造になっている」(P345)という事実を最後の最後に読者にはっきりと突きつけることで、螢の旋律は人を狂気を呼び覚ますものだと読者に理解させています。

個人的には、登場人物の要素がいいカモフラージュだと思っています。
「幽霊屋敷や事故が多発するトンネルなどのオカルトスポットを訪れるサークルに所属する大学生たち(P17)」「マルチ商法風会社により財を成した青年(P16)」「幼少期、蛍をカッターナイフで切り刻むサークルの会長(P14)」…
「こいつらが死んだのも自業自得だな…」と読者に暗に思わせている、つまり動機が問題にならないように書かれている気がするからです。

島原と

島原について
・他大学(S大)にオーケストラ部があると知っている(P60)
・クラッシックに詳しい(P72)
・聞いた旋律をピアノで弾ける(P228)
といったところから、島原はクラッシックに親しんでいた人物だということは分かります。

また、小松響子と加賀螢司の関係を示す証拠に興味を示す(P51)
といったところから、島原は小松響子に興味があることも分かります。

残念ながらこれだけでは島原と小松響子の親子関係までは踏み込めません

しかし、重大なヒントが出てきます。
「小松響子は加賀より一つ年下で、当時結婚をして子供を儲けていた」という佐世保のセリフ(P51)に対し島原は「小松響子は息子を捨てて加賀の許に走っていたわけですか?」と鋭い口調で聞いています(P53)。
子供が息子であると知っている。このことから、島原は小松響子のことをよく知っている→年齢等を考慮し親子関係を見抜く、というのが「賢明なる読者諸君」の在り方だと思います(もちろん私は気付きませんでした…)

唯一の生存者

本作のラスト、後味が悪いものでしたね…

さて、エピローグには「佐世保佐内さん(25)と学生たち、合わせて七人の遺体が、十九日午後に発見された。彼らはF大学のサークルの合宿で当山荘に滞在していた際に、土砂崩れに巻き込まれたもよう。ただし女性一人の身許はまだ判っていない。(略)唯一の生存者である大学生の容体が回復次第、事情を尋ねるもよう」とあります(P350)。
この生存者は誰なのか?というのが、作者が読者に仕掛けた最後の謎です。

まず、ファイアフライ館には佐世保、アキリーズ・クラブの6人、FUMIE、屍蠟と化した小松響子の計9人がいました。
屍蠟と化した小松響子が見つかっていればもっと大騒ぎになるでしょうから、小松響子はまだ見つかっていないと思われます。
つまり、見つかったのは近くの原生林の中に埋められた(P308)FUMIEでしょう。

8人の中で、女性はFUMIE松浦千鶴です。
「女性一人の身許はまだ判っていない」ということは、
①女性二人のうち、一人は死亡し、もう一人は「唯一の生存者」である
女性二人とも死亡しているが、一人の女性の身許は分かった

のどちらか、ということになります。

①の場合、FUMIEは既に死亡しています(長崎の証言を信じるならば、ですが。諫早の動きを見ても死亡していたのは間違いないでしょう)。つまり、唯一の生存者は松浦千鶴、ということになります。

②の場合、まずFUMIEの身許は分からないと思います。諫早がFUMIEの身許が分かるものと一緒に死体を埋めたとも考えにくいですし、大村を襲った際、諫早はFUMIEのスカートをはいていた(P261)=FUMIEは服を着ていない状態で埋められた、と考えられるからです。

では、松浦千鶴の身許は分かるでしょうか?
松浦千鶴はS大に通う弟:松浦将之の学生証を持っています(P340)。
しかしながら、ファイアフライ館が土砂崩れにあったのは午前二時四〇分頃であり、時間帯から考えると身分証を携帯する服装ではないです(長崎に襲われた際の服装は白と紫のコントラストが鮮やかな召使い風の服(P201)。その後、島原に連れられ自室に戻っていますが、そこで着替えたかは不明ですが…)。
また、男子大学生は財布をポケットに入れて持ち歩きますが、女子大生は屋内で深夜に財布を持ち歩きません!(個人的な意見です)

…という理由から、ファイアフライ館が土砂に埋もれた際、松浦千鶴が身分証を携帯していた可能性はかなり低いと思われます。
(携帯していたら、S大学→本物の松浦将之に連絡がいき、身元が判明する可能性があるでしょう)

そうなると、アキリーズ・クラブの関係者や本物の松浦将之から身許が判明したかもしれませんが、そもそも、ファイアフライ館にいた人物の身許が分かっていたら、新聞記事に名前が載るはずです。新聞に名前が載っていないことから、アキリーズ・クラブ全員の身許は分かっていないと考えるのが自然でしょう。

つまり、FUMIEと松浦千鶴の二人とも身許が分からない=女性二人とも死亡しているが、一人の女性の身許は分かったという可能性はなくなります。

女性二人のうち、一人は死亡し、もう一人は「唯一の生存者」であるが採用され、唯一の生存者は松浦千鶴であると言えます。

イニシャル

登場人物の名前をよく見ると、「せぼ-ない」「らど-さし」など名字と平仮名の一文字目が同じ登場人物がほとんどです。
しかしながら「つうら-づる」のみ異なっています。
このことから、唯一の生存者は松浦千鶴と考えるのは突飛すぎるでしょうか…?

館と唯一の生存者

本作「螢」ですが、綾辻行人さんの十角館の殺人とプロットが似通った部分があります(登場人物が学生サークルに所属、所属したメンバーが事件の前に死んでいる、事件のことが新聞に書かれるなどなど)。
さらにそういった視点で考えると、螢が発売されるまでの館シリーズ「十角館、水車館、迷路館、人形館、時計館、黒猫館、暗黒館」の重要な意匠が螢に詰め込まれています!(ネタバレになる部分もあるので詳しくは書けませんが…)

しかし、「水車館」の要素が少し薄く感じました。「ファイアフライ館」に水車はありません。油絵はありますが、名もない作家が書いたものでしょうし…
何かないかと探した結果、見つけました。水車館の殺人の登場人物「根岸文江(FUMIE)」です。

根岸文江の要素がFUMIEに投影されている場合、佐世保の「大丈夫だ。いざというときは看護師がついてるから」(P80)という言葉も納得です。
水車館の殺人に登場する根岸文江は元看護婦です。FUMIEもおそらく看護師だったのでしょう…

唯一の生存者を考察する際、FUMIE以外の登場人物は名字と名前の一文字目が同一であり、かつ、登場人物の名字が長崎県の市の名前になっています
しかし、FUMIEの「ふ」で始まる長崎県の市はありませんので、そのどちらの条件も満たしません。

名前から生存者を検討した場合、FUMIEこそが一番の特殊な名前の持ち主ということになりますが、FUMIEは看護師であるなばら「唯一の生存者である大学生」という条件に当てはまらないことになります。

おまけ

唯一の生存者がいたことは僥倖でしたが、十年前の事件の唯一の生存者:加賀螢司ですら死亡したことを考えると、この唯一の生存者もいつまで生存者でいられるのか、と暗い気持ちになってしまいます…

最後に

本作の事件が起こった昨年の合宿でも、合宿中雨が降っていたようです。
おそらくこの時に諫早が螢の旋律の虜となり、ジョージの共犯者になったのでしょう…

麻耶雄嵩さんが書く、読者を謎の世界に突き落とす作品も好きですが、仕掛けがたっぷりと詰まった本作のような作品も好きです。

良いミステリは何度も読み返したくなります。
そういった意味で、何回も読み返す必要があった「螢」は物凄く良いミステリでした(私が最初に読んだときにトリックを見抜けなかったからでもありますが…)。