意味不明な作品と駄作の連続…世にも奇妙な物語2021年秋の特別編:感想【ネタバレあり】

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私が世にも奇妙な物語に興味を持つようになったのは、以前見たことが2006年放映の「山田祭り」がとても印象に残っているから。短編でしたが、とても後味の悪い作品でした…
あの作品以上の衝撃を求めて、世にも奇妙な物語を見続けています…!
(もちろん、感動する話も好きです!)

というわけで、世にも奇妙な物語2021年秋の特別編の感想です。(ネタバレを含みますのでご注意ください)

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あらすじ
さえない大学生活を送る主人公・大倉幹夫(赤楚衛二)は、同級生で大学のマドンナ的存在・藤野彩花(堀未央奈)に思いを寄せていた。そんなある日、学校の帰り道で見覚えのあるマークが描かれた鍵を拾う。その鍵は、子どもの頃に祖母から「絶対に入ってはいけない」と言われた大倉家にある“開かずの扉”の鍵だった。“開かずの扉”を開けてしまったことがきっかけで、幹夫の人生は一変する…。

世にも奇妙な物語の第1話と言えば、演技が下手な美人女優を起用することでおなじみですが、本作のヒロインの堀未央奈さんは、これまでの歴代主人公・ヒロインと比べると、それなりに健闘していたのではないでしょうか。
出番があまりなかったので、演技がうまかった!と言い切れないですが…

さて、肝心の中身ですが、「扉を抜けると、主人公が望む任意の時間の先に意識が飛ぶ」「飛んだ時間は別の『何か』が主人公に成り代わっている」というものでした。
個人的な印象とすると、世にも奇妙な物語 ’18春の特別編の「明日へのワープ」の超・劣化版ですね。

劣化していると思う部分は
・祖母から「絶対に入ってはいけない」と言われておきながら、主人公はすんなり扉を開けてしまう。扉を開ける動機がしっかり描かれていない
・扉の先にある通路がとても安っぽい。そのせいで最後の通路を抜けるシーンも安物のお化け屋敷を歩いているのかと思うほど
・奇妙さに関して「何か」を演じた坂口涼太郎さんの見た目や動きに頼りすぎ。物語に奇妙さを持たせていない
…といったところでしょうか。

ただ劣化しているだけならともかく、どうにも理解できない謎がたくさんあります。

まず、扉の中で「何か」が誰かを刺してる姿がありましたが、あれは何だったんでしょうか?
サッカー部の先輩を殴ってるシーンならまだ分かりますが…

また、最後のシーンで主人公は飛ぶ時間を選んでないはずですが、勝手に10年後になっています。
扉のルールが全く分かりません。

不思議な世界を描くならば、ルールをしっかり書かないと意味がないです。
「不思議」と「何でもあり」は全然違うものです。

個人的に一番謎なのは序盤です。
主人公が兄(何か)と回る扇風機を見ているシーンで「見ていたものが違ったものに見える」というセリフはまあ分からなくもないですが「妬みの感情は止まらない」というセリフは何だったんでしょうか?

「何か」が主人公をずっと見続けており、積極的に成り代わりたかった、ということかもしれませんがその描写はありません。
「何か」が妬みの感情を持っているシーンでもあれば良かったのですが…
物語に影響を与えていないセリフならば無い方が良かったです。

安っぽさ、物語の一貫性のなさ、心理的描写の乏しさ。あまりいい作品ではなかったです。
結果的に主人公は好きだった人と結婚出来て、子供も産まれていましのたで、見ようによってはハッピーエンドという作品でした。

優等生

あらすじ
女子高生・宮本明日香(森七菜)は、毎朝簡単な小テストを受けていたが、クラス初の0点を出してしまう。翌朝、登校中に薄暗い路地にある小さな神社を見つけた明日香は、その怪しい神社で朝の小テストで100点を取れますようにと手を合わせると……。

うーん…
ギャグにも振り切れていないし、いい話にもなってないし、オチも微妙でした。
面白くなかったですね…

「主人公が書くテストの解答が、全て現実世界とリンクする」というお話でした。
「日本の首相は?」というテストの問題に対し、隣の席の男子高校生の名前を書くと、彼が首相になってしまう、といった具合です。デスノートのデスがない版ですね。

高校生がすぐに首相になれるわけがない!という野暮な指摘をしたくないので、ギャグ作品として描ききって欲しかったですね。

ギャグシーンとして描いたんでしょうが、円の面積を求める問題に誤った答えを書いたせいでスカイツリーがぐにゃぐにゃに揺れているシーンは、私の心がスカイツリー以上にぐにゃぐにゃになっていました。
何故スカイツリーにだけ作用するのか、何故ぐにゃぐにゃ揺れるのか、何故他の物理現象に作用しないのか。
ギャグシーンだとしても全体的に意味不明です。あのシーンは全部ない方が良かったと思います。

また、「テストに書いたことは全て現実になる→誤答を書かないように勉強しよう!」という主人公の心の動きがどうしても理解できませんでした。
普通は自分の私利私欲の為に使うのでは…?
例えば「日本の首相は?」という問題に「私のパパ」とでも書けば、パパはリストラに怯えずに過ごすことも出来ますし、「私」とでも書けば、日本を操ることが出来るかもしれません。
勉強をしないと双子の兄とのシーンがなくなってしまうので、物語の都合上仕方ないのかもしれませんが、心情的に納得がいかなかったです。

何故100点を取るために勉強するのか、という心情が理解できなかったので、引きこもっている双子の兄の部屋の前で勉強するシーンには、何の感情移入も出来ず、むしろ何かの伏線かと思っていました。(能力の代償を兄に押し付けるため、とか)

最後のシーンも残念です。
主人公の兄が言った「テストには裏があるって」というセリフは、ちょっと狙い過ぎです。
主人公の兄は、受験に失敗して引きこもりになった、というだけです。
別にテストに嵌められた訳でもないので、あの一連の会話から「テストには裏がある」というセリフは生まれてこないはずです。
最後のオチだけのために物語を作るのであれば、物語全ての見直しが必要だと思います。

世にも奇妙な物語っぽい後味の悪さでしたが、「とりあえず後味の悪そうなラストにしとけ!」という指示を受けて無理矢理後味を悪くしたようなラストでした。

全体的に色々混ぜて失敗した。そんな印象の作品でした。

ふっかつのじゅもん

あらすじ
中岡賢一(桐谷健太)は、息子の祐樹(笹木祐良)と実家の片付中にゲーム機とソフトを見つける。「ふっかつのじゅもん」を入力しゲームをしているといつの間にか一人の小学生が現れ…

不自然な点が多すぎて物語として成立していません。

初日、ふっかつのじゅもんを入力したら、主人公の同級生で主人公が小学生の時に死んだはずの良介に似た少年が現れます。
その後、良介と思われる人物が川に流され、そのことはネットニュースにもなっています。

その翌日、主人公が「ふっかつのじゅもん」を入力すると、良介が目の前に登場します。
その後主人公は「何で良介が復活したのか、ゲームをクリアできたら分かるかもしれない」と独白しますが、まず良介の復活をすんなり受け入れている点が不自然ですし、ゲームをクリアしたら謎が解けると思う根拠が意味不明です。(ちなみにこの後、主人公の単純な入力ミスでゲームがクリア出来ませんでした。クリアするんじゃなかったのか…?)

また、川に流れたと思われている少年が目の前に現れた際、子を持つ親として真っ先にやることはゲームをすることではなく、警察に連絡することです。
一刻も早く、良介の帰りを待つ人に連絡を入れるべきです。

その後のシーンも酷すぎるので箇条書きにします。

・子供が流されたはずの川の流れが非常に穏やか
・その穏やかな川で膝下までしか水に浸かっていないのに、主人公が流されそうになっている
・目の前で子供が流されたのに、指先が消えていた主人公の息子は「こっちは大丈夫!」と嬉しそうにしている(主人公の息子には良介が見えていない、という伏線ではありません)
・主人公の妻が登場するシーンで、主人公の息子がママから隠れます。何故隠れたのか…?
・主人公は「息子の身体が消えかけていたのは、良介を助けようとしたからなのか」と言っていますが、主人公は怪奇現象に順応するのが早すぎます。もうちょっと主人公が焦っていたりすれば理解できますが…

ぼうけんのしょが消えると、主人公と主人公の妻のこれまでの記憶が消えていたラストシーンは、もはや解釈さえ不可能です。
ぼうけんのしょに二人の記憶が紐づいているということは、実は二人はゲームの中の住人?
良介を助けたことにより未来が変わった?
実はまだ小5の時の世界であり、主人公は、大人になって好きな子と結婚したという未来を夢見ていただけ?
何の伏線もないので、意味が分かりません。

序盤に夫婦の仲が悪そうなシーンを入れたことや、主人公がどういう目的であの家を訪問していたのかが描かれていないことも意味不明です。

主人公は奥さんと離婚して実家に帰って来たのか?たまたま帰省しているだけなのか?
物語の本筋と関係ない部分を描かない理由が分かりません。

近年稀にみる意味不明な作品でした。

金の卵

あらすじ
一ノ瀬亜美(山口紗弥加)が買ってきた卵を取り出すと、“金の卵”が現れる。その後次々と亜美の周りではラッキーなことが起きていくが…。

まず、画面が全体的に暗すぎです。

そして、物語が変に切れているような印象です。
主人公は金の卵を手に入れた後、謎の声が聞こえ、謎の声が言う数字の宝くじを買ったら宝くじが当たります。
その宝くじが当たったシーンが、現実なのか主人公の妄想なのかがはっきりと描かれていません。

このことにより「声が聞こえたり見えない物が見えたりするが、主人公は元々そうだったのか「声が聞こえたり見えない物が見えたりすることは、金の卵がそうさせているのかの区別が付かないこととなります。

また、自宅のクローゼットの中に約1億円の現金があるシーンがありましたが、あれもよく分かりません。
テレビで出ていた金の卵を持った人からお金を奪ったミスリードだとすると、テレビの中で「現金1億円が当選!」とか分かりやすく書いておくべきです。(ちなみにミスリードとするのだったら、主人公はテレビに出ていた主婦と同じく練馬在住だった、という部分まで描いて欲しかったです)
また、金の卵を失いたくない!という気持ちを描くためだとしたら、金の卵を得てから1億円を得たという過程を描かなければならないはずです。

宝くじが当たったシーンでもそうですが、金の卵を得たことによる幸運の量=主人公が金の卵に執着する理由となりますので、ここはしっかりと描いて欲しかったところです。
もちろん、こういったことを描いていない=主人公の独り相撲、ということなんでしょうが、そうだとするとネタばれが早すぎます。


上記の理由により、幸運は妄想なんだろうなあと思ってしまったので、後のシーンは面白みがなかったです。
ルンバも鳥男も、主人公にはそう見えているだけ、というだけに過ぎません。

せめて「金の卵を床に置き、それをロボ掃除機が壊そうとしている」シーンを入れて欲しかったですね。
そうすれば「卵を物理的に壊そうとする相手は鳥に見える」という条件付けができ、他の無機物や警察官が鳥や鳥人間にならなかったことに対してある程度説明がつくと思います。

序盤、テレビが6時57分を示すシーンで、アナログ時計が6時57分近くになっているなど、細かい所に気を使っているな、と思っただけに脚本?演出?が残念な作品でした。

総評

とりあえずバッドエンドにしとけばいいんだろ!
という声が聞こえてきたような作品の数々でした。

過去、俳優さんの演技により物語が入ってこなかった作品がありましたが、今回はそんな印象はありあません。
物語がしっかり入ってきた分、物語そのものの悪さがよく伝わったように思います。

今まで「世にも奇妙な物語」に対して「楽しみ!」という気持ちで見ていたので、次回からは「良い作品が1個でもあったらラッキー!」という軽い気持ちで見たいと思います。


見てよかった度:(「ふっかつのじゅもん」は何度見ても意味不明です)
また見たい度 :(今作は面白さを一つも見出だせませんでした)
これはテレビから人が離れるなあ…度:☆☆☆☆☆

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