北山猛邦著【『クロック城』殺人事件】読んだ感想。

感想
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ミステリ作家の北山猛邦さんのデビュー作『クロック城』殺人事件を読みました。
北山さんの作品は、これ以外に「瑠璃城」「アリスミラー城」「月灯館」を読んでいます。
本格ミステリ系のデビュー作は秀逸な作品が多いので、期待大! 楽しみです。

あらすじ

終焉をむかえつつある人類の世界。探偵・南深騎と菜美の下に、黒鴣瑠華と名乗る美少女が現れた。眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。謎が漂うクロック城に二人を誘う瑠華。そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首無し遺体が次々と現れた。驚愕トリックが待つ、本格ミステリ。〈メフィスト賞受賞作〉

講談社文庫 裏表紙より

文庫裏表紙のあらすじに堂々とある「本格ミステリ」の文字が眩しいです。
他の北山さんの作品は、楽しかったけど、本格かと言われると疑問でした…。
でもこれはデビュー作&メフィスト受賞作! 
期待して読んでいいでしょう!

感想 

一言で言うと、本格ミステリとしては読めない作品でした…。

存在があやふやな登場人物・特殊な世界観・謎の組織達・よくわからない犯行動機…などなどが出てきます。
舞台が「滅びゆく地球」で、そこに不可思議な力や存在がちょくちょく登場します。
この設定があやふや過ぎて、「これは伏線なのか?」「設定なのか?」よくわかりません。
おまけに謎の組織達の行動も理にかなったものではなく、正直ツッコミどころ満載です。

メイントリックに大掛かりな物理トリックが使われている点は唯一本格らしいかな?と感じますが。
それも「解りやすすぎ」たり「それじゃなくてもよくない?」といった印象を抱きます。
私が物理トリックが好きじゃないのもありますが、楽しめませんでした。

登場人物のキャラ設定や行動、世界観を見るに、まるでライトノベルです。
本格ミステリじゃなくてそっち方面の小説と言った方がよほどしっくりきます。
ラノベ分野に入れて欲しいです。それなら楽しく読めますから。
どうしてこの作品を「本格ミステリ」として売り出したのか不思議に思います。

ちなみに…私が読んだ北山さんの他作品はもう少し「本格ミステリ」だったし、話自体ももっと面白かったです。
最近の作品の方が文章もわかりやすく、登場人物の行動もそれぞれの性格・環境を踏まえた理にかなったものになっています。
そういった意味で北山さんの新作は人におすすめできます。
逆にデビュー作「クロック城」は、おすすめできないかも・・・。

感想(ネタバレ有)

以下、率直に思ったことです。

・結局ゲシュタルトってなんだったの?
・主人公が最強キーパーソンで、菜美は触れる幽霊的なものだったの?
・第3天使&結界、かっこよすぎでしょ。
・天使&ヘリコプター、かっこよすぎでしょ。
・天使、世界的に活動してる割に皆近くにいたんだね…
・銃にナイフで対抗する天使たち…それもう第一天使死んでるよね?
・SEEMの彼女、どうしてその程度の説得で引いたの?世界守るんでしょ?
・眠り姫、結局何がしたかったの?
・物理トリックあるあるだけど、犯人の身体能力は超人だよね。
・主人公=犯人と指摘された時、主人公何故納得しかけてるの? 記憶障害ある?
・主人公=犯人と指摘された時、主人公何故菜美にボーガンを向けたのか?

もうね、よくわからないことだらけでした。
結局世界は救われたのかどうなのか…「余韻を残した結末」と言えば響きはいいけど。
個人的にはしっくりこないラストでした。


まとめ

SFとしてなら楽しく読めると思います。
敵を倒すサード・クロス、ヘリから降りてくるクロス達、ボウガンを撃つ主人公とか、凄く楽しいじゃないですか!


でも本格ミステリを読みたい人には不向きかも。
あと、設定&登場人物が色々とアレなので、年配の人には読むのに気力がいるかもしれません。

感想
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