名作誕生!!世にも奇妙な物語2013年春の特別編:感想と考察【ネタバレあり】

テレビ
tombud / Pixabay
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私が世にも奇妙な物語に興味を持つようになったのは、以前見たことが2006年放映の「山田祭り」がとても印象に残っているから。短編でしたが、とても後味の悪い作品でした…
あの作品以上の衝撃を求めて、世にも奇妙な物語を見続けています…!
(もちろん、感動する話も好きです!)

というわけで、世にも奇妙な物語2013年春の特別編の感想と考察です。
あらすじ知りたい方は、こちらをご覧ください!

呪web

うーん…
はっきり言ってベタな話でした。オチが想像できてしまうと、作品にのめり込むことは出来ませんよね…
デスノートっぽいというか…ファイナルデッドコースターっぽいというか…

そもそも、本作の主人公が大根役者で有名な佐々木希だった時点で、作品への興味の8割は失われていました…

「呪い動画を誰が撮っているのか?」というのは本作の謎の一つであるので、そこを登場人物に絡めていくと謎の幅が広がったのではないかと思います。

例えば
序盤から主人公の自宅近くにイケメンお巡りさんを登場させる→同僚女子が何者かに刺殺され部屋を飛び出すとイケメンお巡りさん登場。2人で部屋に戻る→指名手配犯を追いかけている映像は警察関係者しか撮れないことに気付く主人公→無言でナイフを振りかざすイケメンお巡りさん→暗転
とかですかね。

後味の悪さを重視するなら

同僚女子は上司と不倫関係にある→

(最後のシーンを屋外にして)同僚女子「あんたの秘密を知るためにあんたの彼氏に近付いた!あんたに『超絶呪い』をかけてやった!あの人の恨み!!」→

車に轢かれる主人公→

薄れゆく意識の中、携帯で呪いWebを立ち上げ同僚女子の名前を入力→

高笑いする同僚女子の頭上から鉄骨が降ってきて…

の方が後味が悪かったかな、と思います。

本作の見所を挙げるとするならば「佐々木希を売り出したい側の苦心」です。

表情をアップにすることで細かな演技が出来ない大根っぷりを誤魔化している
・佐々木希に実際に喋らせるのではなく心の声を多用することで、声のトーンで演技ができないことを誤魔化している。(撮り直しが出来る心の声の演技も上手いとはとても言えないですが…)

石油が出た

タイトル出落ち。作品途中のヒロインとのラブシーンも中途半端で冗長です。
世にも奇妙な物語に一話は挟まれる笑い話なので真面目なツッコミは避けたいところなのですが、作品の細部のツメが甘すぎるせいで楽しく見ることが出来ません!!

・自分の尿が引火物に変化した直後に病院に行く主人公の気持ちが理解できない
→「悩んだ結果、病院に行った」とか、もうちょっとナレーションを入れるとかして欲しいです
・病院?側が謎の組織「国立人体化学研究所」を呼ぶ手際が良すぎる
→あの世界では「尿が石油に変化したら『国立人体化学研究所』を呼ぶ」ということが徹底されているのでしょうか…?
・拉致されているのに主人公の物分かりが良すぎる
→全く抵抗せずに、怪しい車に乗り込んでいます。もうちょっと抵抗してほしいですね。
・拉致しているのにトイレに行かせる警備のゆるさ
→拉致犯の二人は下っ端だったのかもしれませんが、それにしても警備が甘すぎます。
・銃を持って突入してきた謎の組織が、主人公の尿が石油じゃなくなった途端に諦めている
→ここも「あの後国の機関に協力したけど、結局石油は出なかった」などのナレーションが欲しいですね。

ドラム缶に放尿→

放火犯として警察に拘束→

謎の組織に拉致→

謎の組織内で1日100リットル尿を出すことを命じられる→

謎の組織のヒロイン(有村架純)と組織を脱出→…

というストーリーの方が多少納得がいく気がします…

ラストシーンも

自分の石油体質が小便小僧の恩恵だったことに気付いた主人公は、村に小便小僧の像を建立→

息子に体質が遺伝→

困った顔で小便小僧を見る主人子→

真顔orニヤリと笑った小便小僧のアップ

…とした方が前半と後半の繋がりがあって良かったと思います。

この話で一番納得がいかないところが「主人公の尿の色」です。

主人公の尿の色から言って、「原油」若しくは「重油」が出ていることが分かります。
しかしその後、ディーゼルエンジンのトラクターに尿を入れて一発でエンジンがかかっており、軽油的成分があることが分かります。(その後、バスが走っている描写もあります。寒村に製油技術があるとは思えませんので、軽油で間違いないと思います。)
こういうツメの甘さをなくして欲しいです…

AIRドクター

こういった「映像で表現することで真価を発揮する作品」を見るととても幸せな気分になります。
この作品を文章で表現しても面白みが半減します(特に「時計と温湿度計を誤認させる」ということの面白さを伝えることは文章では難しいです…)。
ぜひとも映像で見て欲しい作品です!!

「石油が出た」との違いは、圧倒的なスピード感です。
「飛行機の中&ドクターキットの装備で難手術に挑むとは思えない」「機長が気絶しているのによく飛行機が無事に着陸したな!」等ツッコミどころはありますが、「登場人物(物も含む)全てが嘘つき」という設定を忠実に守り、最後まで視聴者を飽きさせないところが素晴らしいです。
この作品は純粋に楽しめました!!

不死身の夫

話の筋をざっくりとまとめると「夫からの愛情が重くなり夫を殺害→殺した後寂しくなる」というものでした。
…人間って勝手な生き物ですね!

「死んだ人間が蘇る」というテーマはこれまで数限りなく用いられているものなので、どのような内容なのか楽しみに見ることができ、個人的にはなかなか満足のいく内容だったと思います。(強いて言えば、妻役が檀れいさんでなくもう少し演技が上手い女優さんであったならば作品に没頭することが出来たと思います)

後味の悪さを優先させて、「一般的な再生保険は自殺したら効かないが、自殺だったとしても1回だけ復活できる特約を妻にこっそりつけている→高笑いする妻の後ろから笑顔の夫が登場」とかの展開でも作風にあっていたと思います。

この作品を好印象にしている点は「音楽」です。
物語冒頭が「妻が夫を殴り殺す」というショッキングなシーンですが、アコギがジャカジャカかき鳴らされていることで(フラメンコ?)凄惨な雰囲気を軽減することに成功しています。(その後、全ての殺害シーンの後ろで陽気な音楽が流れます)
また、明るい音楽を積極的に使用することで「この作品が単なるホラーでない」という作者の意図を理解することができます。
これこそ、視覚と聴覚を同時に支配できる映像作品ならではの手法だと思います。

階段の花子

チュートリアル徳井義実さんが主演の作品。
演技力に関して、何気ないシーンなら問題ないのですが、最後の緊迫感があるシーンでは大根役者っぷりを披露しています。特に叫び声から恐怖が感じられません。
もう少し、怖がる演技が上手であれば作品にのめり込むことが出来たと思いますが…
それに比べて大政絢さんはとても良かったです。早口で徳井さんを追い詰めるシーンはとても迫力がありました。笑顔もとても怖かったです!
徳井さんではなく、もっと演技が上手な俳優さんが演じていたら、この作品も名作に肩を並べることが出来たと思います…

ストーリーそのものは登場人物が2人しかいないため、オチは読み易かったです。
しかし、大抵のホラー作品はお化けが理不尽に動き回りますが、本作は「階段の花子さんに関する条件」を先に提示することで、花子さんの行動に必然性を持たせている点はとても良かったです。

相川先生に何かを食べさそうとしたり、真実を突き付けることで嘘をつかそうとしたりと、花子さんの行動は相川先生を罠にはめるものでしたが、「さゆりちゃんの願いを叶える義務を邪魔した相川先生への怨み」と捉えれば花子さんの行動にもとても納得がいきます。

一つ不思議な点は、「花子さんが渡してくれた食べ物は口にしてはいけない」という条件に対して、差し入れのケーキもコーヒーも受け取った飴玉も相川先生は口にはしていないように見えます。
条件を全て満たしていないので「無限階段」程度のペナルティで済んだ、ということでしょうか?
徳井さんのキャラを考慮し、小谷先生登場シーンで飴玉なりケーキなりを「はい、あーん」とでもして、分かりやすく食べさせておけば良かったのにと思います。

総評

残念ながら「山田祭り」を超える作品はなかったですが、一部作品については楽しく見ることが出来ました!
あらすじ知りたい方は、こちらをご覧ください!

見てよかった度:☆☆(AIRドクターはとても良かったです)
また見たい度 :☆(AIRドクターは何度見ても面白いと思います)
「いい作家さん+いい俳優さん」=いい作品が生まれる度:☆☆☆☆

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