屍人荘の殺人【漫画版】 感想 マンガならではの見せ方がとても面白かった!

感想
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2017年10月に東京創元社から発行された、今村昌弘(いまむらまさひろ)さんの小説が、2019年12月に集英社から漫画版が発売され、2021年7月に完結しています。

漫画を描いているのはミヨカワ将(まさる)さん。
乙一原作「山羊座の友人」の作画担当などでご活躍されている方です。

小説版の屍人荘の殺人は面白い作品だったので、漫画版も非常に楽しみに読んでみました。
(小説版:屍人荘の殺人の感想なども書いています。興味がある方はこちらからどうぞ!)

感想(良かった点)

漫画ならではの見せ方で原作の面白い部分をしっかりと表現できており、とても面白かったです!!
良かった点をまとめてみました。

作画と演出

まず、神紅のホームズこと探偵:明智恭介がイケメンに描かれている時点で、神紅のホームズのファンである私には何の文句もありません!!
登場シーンは見開きでしたし、明智さんが静原さんを助ける名シーンもかっこよく描かれていました…!
(小説では、明智さんが他の人を助けるために紫湛荘の扉を閉める際「うまくいかないものだな」というセリフを残していましたが、漫画では無言でした。これはこれで印象深い演出でした!)

また、葉村は弱々しく描かれておりイメージピッタリでしたし、剣崎を可愛く立浪をイケメンに描いている点も非常に良かったです。(物語の構成上、その演出は必要であるため)

個人的には出目がもう少しブ男のイメージでしたが、本作はオラオラ系で描かれていました。読み進めていくとこれも納得の演出でした。

また、本作で重要な要素を占める「屍人」をしっかりと恐ろしい姿で描いている点はとても好感が持てます。
ホラー要素を強め過ぎてしまうと単なるホラー作品になってしまいますが、本作ぐらいのホラー要素はミステリとしてのミスリードに一役買っていたと思います。

原作に忠実

葉村の部屋のドアを開けても静原と目が合わない、という事実をしっかりと2巻で描いている点は原作に忠実ですし、漫画単体で読んでもミステリとして成立させています

また、1巻冒頭のカレーうどんにまつわる推理の小競り合いの描写が省かれずに書かれている点もとても良かったです!

漫画版オリジナル

原作に忠実な部分もありながら、漫画オリジナルの部分を描いている点も良かったです。

・明智さんが「学内ポルノ写真バラ撒き事件」という安い事件に取り組んでいる
→本作の真の名探偵の活躍と上手く描き分けられていると思います。

・明智さんのモノローグ
→明智さんがゾンビにやられた後、様々なセリフがモノローグとして登場します。
特に「ここで重要な事実をお知らせしたい」「葉村くんはすでに犯人を知っている」「そしてこれを見ている諸君も」「知っているがそのことに自分でも気がついていないのだ」など、読者へのヒントをモノローグとして登場させているのは、漫画ならではの表現だと思います!

・明智さんの推理
→1巻で描かれていた高木と静原の何気ない登場シーンに、静原がICカードに帰りの金額をチャージしていない、つまり静原が死のうとしている、という意味を持たせ、さらにそれを明智さんが推理しており、その推理内容を葉村にライン(?)で伝えていた、という展開はとても良かったです!!

・重元
→見た目が単なるゾンビオタクとして描かれていた重元ですが、仲間を庇ってゾンビに特攻する、葉村に手帳を返すなど、原作よりかなり活躍していたと思います。ちなみに原作では手帳が原因で連行されています(P305)。

漫画ならではの表現の上手さ

本作は、漫画ならではの見せ方が上手いなと思う部分が多数ありました。

・明智さんの登場シーンが見開きで描かれているおり、「本作の探偵は明智さんだ」というミスリードが上手く出来ている

・下松さんが屍人になるシーンで、1ページ前までは普通に喋っている下松さんが、ページをめくると下松さんが屍人に変身している姿を1ページ丸々アップで描いている点
→原作を読んで次の展開を知っている私でも、屍人の不気味さにとても驚かされました。屍人になる前の下松さんの最後のセリフは「だから大丈夫だヨ」なのですが、語尾が「ヨ」になっているところも変貌の予兆を上手く描いていると思います。

・1巻の最後に明智さんが食い殺される展開で終わり、2巻の最初に明智さんと葉村の日常を描いている点
→小説でこんなシーンを挟むと、回想シーンだとしても導入部分が難しくなります。漫画ならではの表現だったと思います。

他にも印象的なシーン、例えば進藤が遺体で発見されるシーンは見開きを丸々使うなど漫画ならではの見せ方がとても上手いな、と感じました(小説の場合、太字にする訳にはいきませんので)。

最後に

2巻の冒頭、明智さんが「この店は即座にクリームソーダを出すことが出来るのか?」と疑問を抱いた際、「男一人でクリームソーダを頼む勇気がない」という理由でクリームソーダを注文することが出来ませんでした。
このことは明智さんが「名」探偵になれなかった理由のような気がします。

漫画に関して敢えて苦言を呈するとすると、建物の構造・部屋割り・扉の強度などにあまりフォーカスが当たっていなかったため、「今、どこからどこまで屍人に占拠されたのか」が分かりづらかったです。
しかしながら、その説明を省いた分、物語にスピード感が生まれていました。紫湛荘内部に屍人がドンドン集まってきている様は緊迫感がありました。

後、もう一点。
4巻最後で、葉村渾身のナイフの突きをゾンビ化した明智さんはなんと眼鏡で受け止めます!
このシーンだけギャグシーンなのかシリアスシーンなのか分からなくなりました…

原作には「探偵という特等席が用意されていない探偵」という表現がありました(P200)が、漫画版ではその対象は明智さんでした
ミステリとして読むと不満が残るかもしれませんが、原作が好きな人にとっては読んでおいて損がない作品だったと思います!

読んでよかった度:☆☆☆
また読みたい度:☆☆☆
原作に対する愛を感じる度:☆☆☆☆☆

今村昌弘さんが書いた原作屍人荘の殺人の感想はこちら
また、他の作品の感想はこちらからどうぞ!

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